教会の大いなる鍵月涼し 有馬朗人 涼し(夏)すずしさのいづこに坐りても一人 藺草慶子 涼し(夏)嫁入りに涼しさだけを持たせけり 渡辺恭子 涼し(夏)水巴門多き天城の風涼し 松崎鉄之介 涼し(夏)象谷に一雨ありし夜の秋 山本洋子 夜の秋(夏)夜の秋のさしさはりなき薬とぞ 友岡子郷 夜の秋(夏)オペラ座の裏窓ひらく夜の秋 市ヶ谷洋子 夜の秋(夏)朝涼の古き港のポストかな ばもととしお 朝涼(夏)鯉の血を飲まんと思ふ夏の月 鈴木太郎 夏の月(夏)薫風に故人の表札容れて撮る 横山房子 薫風(夏)薫風に風のさざなみ草千里 山口速 薫風(夏)風薫る童女の下駄の軽さかな 市ヶ谷洋子 風薫る(夏)商談のそれでなくても南風つよし 中島正基 南風(夏)明大の勝てよ南風吹く旗の下 水原秋桜子 南風(夏)南国に死して御恩のみなみかぜ 攝津幸彦 南風(夏)山河いま我に情なし夏嵐 中村苑子 夏嵐(夏)青嵐神社があったので拝む 池田澄子 青嵐(夏)一斉に飯食ふ僧や青嵐 岸本尚毅 青嵐(夏)峯雲や一人生まれて一人死す 長田等 峰雲(夏)軍艦を陸に封じて雲の峰 綾部仁喜 雲の峰(夏)誰も来て仰ぐポプラぞ夏の雲 水原秋桜子 夏の雲(夏)初秋やをのづととれし雲の角 内藤丈草 初秋(秋)木の校舎いまも夕焼小焼かな 成田千空 夕焼(夏)夕焼ける国の子供ら減つてゆき 鈴木六林男 夕焼(夏)朝焼の雲海尾根を溢れ落つ 石橋辰之助 朝焼(夏)日が月のふりして浮かぶ朝曇り 渡辺鮎太 朝曇(夏)あひふれしさみだれ傘の重かりし 中村汀女 五月雨(夏)さみだるる一燈長き坂を守り 大野林火 さみだる(夏)梅雨にほふ神鈴しぶり鳴りをして 鍵和田秞子 梅雨(夏)われら棲む水の惑星梅雨来たる 橋本榮治 梅雨(夏)一角の明けてありけり梅雨の空 村沢夏風 梅雨(夏)森よりもしづかな身体夕立聴く 今井聖 夕立(夏)夕立の修羅をはりたる柱かな 大木あまり 夕立(夏)夕立の天の岩戸を拝みけり 岸本尚毅 夕立(夏)フリードリヒ=ニイチェのごとき雷雨なり 平井照敏 雷雨(夏)むきだしの岩になりたや雷雨浴び 佐藤鬼房 雷雨(夏)多摩川を越えて本気になりし雷 大牧広 雷(夏)黒板にあしたの予定虹二重 藺草慶子 虹(夏)寵愛の鳥を殺めし虹の中 寺井谷子 虹(夏)野外劇終りて虹もはづされる 小笠原風箕 虹(夏)手鏡にうつらぬものに夏霞 鈴木太郎 夏霞(夏)橋の名の嫁入橋や夏霞 飯島晴子 夏霞(夏)梅雨晴間やすらかに寝て終りけり 加藤郁乎 梅雨晴(夏)木の花の香の高きより五月闇 片山由美子 五月闇(夏)すり寄りし犬の肋や五月闇 川崎展宏 五月闇(夏)がつくりと抜け初むる歯や秋の風 杉山杉風 秋の風(秋)針・刃物・鏡・ひかがみ熱沙越ゆ 小檜山繁子 熱砂(夏)旱畑に跼みて長き晩年よ 玉木春夫 旱畑(夏)もの影がうつつに過ぎる旱かな 市堀玉宗 旱(夏)壊れ時計横たふ旱天の三角洲 今井聖 旱天(夏)炎天の遠き帆やわがこころの帆 山口誓子 炎天(夏)炎天より僧ひとり乗り岐阜羽島 森澄雄 炎天(夏)炎天の梯子昏きにかつぎ入る 橋本多佳子 炎天(夏)炎天を槍のごとくに涼気すぐ 飯田蛇笏 炎天(夏)炎天へズボンの折り目踏み出せり 奈良文夫 炎天(夏)出てすこし胸張るこころ炎天下 能村登四郎 炎天(夏)法要や窓の外なる油照 深見けん二 油照り(夏)油照り住所と氏名ふところに 飯田朝子 油照り(夏)観光の石棺となり灼くるなり 山口いさを 灼く(夏)日盛りのもぐら叩きの恐ろしき 内田美紗 日盛り(夏)塔を灼く鉄の匂ひのエレベーター 櫛原希伊子 灼く(夏)音たてて自転車とまる西日かな 石田郷子 西日(夏)西日はじきかえして機罐車が退る 寺山修司 西日(夏)曳きながら西日の何か落としゆく 折井真琴 西日(夏)石庭にいゆき流れて雲炎ゆる 伊丹三樹彦 炎ゆ(夏)裏口を出てふるさとの夏の山 深見けん二 夏の山(夏)喉に水まつすぐ落ちて夏の山 小島健 夏の山(夏)碧き岩五六かたまる夏嶺かな 岡井省二 夏嶺(夏)山の秀の山にしづもる出水後 宮坂静生 出水(夏)つらつらと婆が茣蓙のべ夏磧 宇多喜代子 夏磧(夏)わたくしの有史以前の夏の河 高橋龍 夏の河(夏)バス停のあらず片陰すらあらず 森田純一郎 片陰(夏)片蔭や滅びし寺の名の町の 野中亮介 片蔭(夏)マロニエの片陰深し外務省 戸恒東人 片陰(夏)くる秋は風ばかりでもなかりけり 立花北枝 秋(秋)焼にけりされども花はちりすまし 立花北枝 花(春)韓国の愁いの滝というを見し 鳴戸奈菜 滝(夏)滝落つる束の間の投げキッスかな 守屋明俊 滝(夏)滝垢離のからだはなるる耳ふたつ 岡井省二 滝(夏)滝行者かくしどころは打たさざる 土生重次 滝(夏)滝がうがう何纏ひても無一物 渡辺恭子 滝(夏)いそいそと落ちてゆく水瀧なかば 鈴木六林男 瀧(夏)虚子の句も及かずと思ふ瀧仰ぐ 茨木和生 瀧(夏)瀧の精翻斗うつてあそびけり 瀧澤和治 瀧(夏)千年の留守に瀑布を掛けておく 夏石番矢 瀑布(夏)うつし身を吊るす瀑布のとどろきぞ 鎌倉佐弓 瀑布(夏)生前も死後も泉へ水飲みに 中村苑子 泉(夏)老母訪う途中に蛇の泉あり 安井浩司 泉(夏)噴井ありむかし薩摩の下屋敷 上野一孝 噴井(夏)植ゑ残る田に落日の嶽うつる 福田甲子雄 植田(夏)越はいま植田たひらや寝もやすし 森澄雄 植田(夏)鴇色の夕雲放つ植田かな 小島健 植田(夏)中年やゆらゆら青田中通る 石寒太 青田(夏)不良なつかし青田をひろげたる津軽 矢島渚男 青田(夏)すり傷の乾くこはばり青田風 鈴木伸一 青田風(夏)山門の真正面の卯浪かな 斎藤梅子 卯浪(夏)子の岩の没りて出てこぬ卯浪かな 上田五千石 卯浪(夏)卯浪背に自作の曲を振るタクト 中村草田男 卯浪(夏)土用波見てゐるいつかわれも波 河口仁志 土用波(夏)青年の膕くらし土用波 松村武雄 土用波(夏)
俳句検索結果(季語付き)
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