晩夏の季語 梅干
塩漬けしたのち日干しにしたものを梅干、塩漬けのみのものを梅漬という。
6月頃に熟した梅を塩漬けにして赤紫蘇を加えて色づけした後、「土用干し」したりして出来上がる。赤紫蘇を加えないものを「白干し」などと呼ぶ。
梅干はもともと、梅酢の副産物で、中国起源の漢方薬である。日本では、頭痛への効果から、梅干片をこめかみに貼る「梅干婆さん」が現われた。現在では、防腐効果や疲労回復効果などが広く知られている。
梅干の種は「天神様」と呼ばれるが、これは、梅の花を愛でた天神様こと、菅原道真公に因む。「梅は食うともさね食うな、中に天神寝てござる」と歌われている。種を食すと、漬けても残存することのある毒素が、人体に悪影響を及ぼすことがある。
申年に作った梅干しは、食べると健康長寿になるという伝承がある。
和歌山県は梅の産地で知られるが、特産の南高梅でつくられる梅干は、最高級品として珍重されている。
【梅干の俳句】
梅干して人は日蔭にかくれけり 中村汀女